今回皆さんにご紹介するのは本当に怖い映画。「怖い映画」という言葉から、どのような作品を思い浮かべますか?
ホラーやスリラーといった王道に恐怖を感じる人もいれば、ラブストーリーや人間ドラマに垣間見えた要素を「怖い」と思ってしまう人もいるはず。「怖い映画」を定義づけるのは、なかなか難しいことなんです。
当記事で紹介するのは単純なホラーではなく人間の恐ろしさや設定の不気味さ、あるいは史実として存在した目を背けてはならない真実。
心に大きなしこりを残すこと間違いなしの名作選、ぜひ覚悟を決めてご覧ください。
※決して万人向けする内容ではありません。心身ともに余裕のあるときがおすすめですよ。
縞模様のパジャマの少年
あらすじ
第2次世界大戦の真っ只中。
ブルーノは、ベルリンで何不自由なく暮らす裕福なお坊ちゃんだった。
冒険小説が好きな彼は国の歴史や戦争のことは自分とは関係の無い、遠い世界のこととして無関心である。
ある日父の昇進がきっかかけでベルリンから田舎に引っ越すことになる。
友人との生活が無くなることが寂しかったブルーノは、ぶすっとした表情のまま新しい家に到着した。
その家は広く、庭もある。
しかし家の周りには学校など何もなく、ブルーノと姉は家庭教師を雇い勉強するほどだった。
そして散策で少年はとある収容所を見つけることに…
第2次世界大戦下のドイツ、ベルリン
この映画は戦争という残酷なものが行われている大人社会の中で、犠牲になってしまう敵同士の子供2人を描いています。
ドイツ将校の息子と、ユダヤ人収容所に入れられている子供。日常生活の中で出会うはずがない2人です。
本人たちは自分たちの周りで何が起こっているのか、理解していません。それどころか、交流をきっかけに仲良くしようとしている。
父の仕事のために収容所近くに越してきたブルーノは、友人がいないため寂しいという気持ちを抑えきれずにいました。
好奇心旺盛な少年が思いつきそうな「冒険」という名の散策で見つけた収容所。
そこで収監されている一人の少年(シュムール)と出会い、柵越しに親しくなっていく。
まだ子供のブルーノはユダヤ人が収容所の中でどんな扱いになっているのか知らない。ブルーノの母親も息子を思う優しさからか、子供たちに真実を話そうとはしませんでした。
収容所からは常に黒い煙が上がり、何かを燃やしているようで非常に臭い。子どもに話せない不都合な真実に、何の存在意義があるのか?
戦争の愚かさを子ども目線で問いかける、目を背けてはいけない一作です。
ヒトラーの忘れもの
あらすじ
終戦直後のデンマークを舞台に、地雷撤去を強制される敗残ドイツ軍の少年兵たちの過酷な運命を、史実に基づいて描いた。
第2次世界大戦後、デンマークの海岸沿いに残された無数の地雷を撤去するため、元ナチス・ドイツの少年兵たちが連れて来られる。
彼らを指揮するデンマーク人軍曹はナチスに激しい憎しみを抱きながらも、無垢な少年たちが次々と命を落とすのを見て良心の呵責にさいなまれるようになっていく。
大人たちが残した理不尽な任務。少年たちが見つけたモノとは
1945年5月、青い海に白い砂浜。あどけなさの残る少年たちが腹ばいになり、細長い棒で砂の中をつついていく。
そんな砂浜一面に埋まっているのは、一瞬で命を奪い去る凶悪な地雷。
画面越しに彼らを観ていると彼らに同化し、死と隣り合わせの任務に極度の緊張を強いられるような気分になります。
いつの時代も戦禍を担わされるのは、戦争を起こした世代ではなく、何も知らぬ次の世代。
戦争が残す爪痕の大きさを示しながら戦争下にある人間の心理の揺れを描いた、繊細で刹那的な作品です。実は悲しくも史実に基づいて制作された本作ですが、ドイツとデンマークの合作である事実も忘れてはいけません。
デンマークはナチスドイツの占領から解放されましたが、その海岸線にはドイツ軍が埋めた150万もの地雷が残されていたそうです。
膨大な数の地雷を撤去する危険な作業を強制されたのが、同国に残されたドイツ兵捕虜で、その多くは大戦末期に徴兵された10代半ばの少年兵でした。
まさにヒトラーの忘れものである地雷を少年達がひたすら撤去していく光景。デンマーク国内でもほとんど知られていなかった歴史の悲劇を題材にしたヒューマンドラマです。
隣人は静かに笑う
あらすじ
ある日、主人公マイケル・ファラデイは大怪我を負いながら歩いている少年ブレディを助ける。するとブレディは隣に越してきたラング家の息子であることが分かり、その日からファラディ家とラング家の交流が始まった。しかし交流を深める内、マイケルはブレディの父オリヴァーに得体の知れない違和感を抱き始める…
一見親しげな隣人だが実は偽名で、過去を隠した元テロリストだった
最後に紹介するのは「隣人は静かに笑う」です。怖い物好きの方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
あまりにも信じ難いラストにアメリカでは公開延期、レンタル禁止となった問題作。
隣人の名前すらも知らない日本と違い、基本的にはフレンドリーで隣人同時の交流も盛んなアメリカだからこそ起こり得る展開ですが、終始漂う不穏な空気には見ているだけでかなり気力を削がれます。
とにかく展開が肝心な作品のため、あまり多くは知らないまま視聴するのがおすすめ。
レンタル禁止になるほどの問題作。ショッキングなラストが気になるのであれば、是非おすすめしたい一作です。